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ポルトガル写真集(冬のポルト)
Portugal Photo Gallery --- Porto 1

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ポルト2
ワインの町ポルト
ワインの町ポルト

ポルト3
下着売りのおばさん
下着売りのおばさん

ポルト4
雨上がりのメインストリート
雨上がりのメインストリート

ポルト5
市電運転手さん
市電運転手さん

ポルト6
彩やかな店頭
彩やかな店頭

ポルト7
ひな壇の町
ひな壇の町

ポルト8
教会の溶け込む町
教会の溶け込む町

ポルト9
ワイン船
ワイン船

ポルト10
私の売り場はここよ
私の売り場はここよ

☆ポルトの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
ポルトガルの第2の首都ポルトは、ヨーロッパ大陸最西端の首都リスボンにつぐ都市である。
リスボンの北300km、ドウロ川の北岸の丘陵地に築かれた、起状の多い街。
坂の多さは『7つの丘の街』と呼ばれるリスボンにも劣らない。
名実ともにポルトガル発祥の地がここポルトである。

「ポー君の旅日記」 ☆ 冬のポルト ☆    〔 文・杉澤理史 〕

  

 太西洋に面したポルトガル共和国の第2都市ポルトについたのは真夜中だった。 名古屋からの直行便がないためドイツのフランクフルト空港で7時間余り待機し、乗り継いできた。
 ロビーを出た。寒い。冬だった。始まっていた。タクシー運転手とけいちゃんの料金交渉が。 話せないから、筆談だ。ホテルまで10キロ。ゆったりした中年の運転手だった。 深夜の起状のある石畳の町をゆっくり走ってくれた。 『楽しんでご堪能ください我が町の美しさを』とばかりに。ありがたかった。 ライトアップされた建物が闇夜に浮かんでゆっくり走り去っていった。 けいちゃんは瞳を濡らしていた。感謝。 空港から30分ほどで高台にあるホテルに着いた。 深夜の1時を過ぎていた。

 1月末のポルトは名古屋から着てきた服装がそのまま通用する気候だ。 朝夕は冷え込むが昼は暖かかった。ホテルを出て石畳を下った。 絵を見ているような美しい坂道空間。 早朝に来た清掃車がゴミ回収と散水で人が寝ている間に絵空間にしていたのだ。「これってすごい!」 坂道を下っていくと常設の市場があった。ボリャオン市場。 「ラッキー!」とけいちゃんは素直に歓喜した。市民の生活の市場だった。 カメラのファインダーに目がいくとけいちゃんはいつも『魔神』になった。 シャッターの音が心地よく響く。

 市場の構内は2階建て。 所狭しと小さな売り場が円を描いて連なり、まるで遊園地のように楽しい。 魚・野菜・果物・肉・燻製・花・オリーブ・雑貨など日用品ばかり。売り手は女性。買い手も女性。 市場は女性天国だった。
 頭にパンツを幾重にも重ね、両手にパンストを抱え売り歩くおばさん。 椅子にちょこんと座り、自家製のテーブルクロスを黙って売っているおばあさん。 スーパーモデルになるのが夢の八百屋の娘。 オリーブ専門店の美人さん。

 けいちゃんにとっては、まさに天が与えてくれたオアシスだった。 人物写真がけいちゃんの守備範囲。 その人の『今』をフィルムに焼き付けるのが得意だった。 3時間近くけいちゃんはここを離れなかった。 時間があれば1日いたかもしれないとポーは思った。
 撮影のお礼をけいちゃんは忘れない。千代紙で『折鶴』を瞬時に作り、撮影した人にもらっていただいた。 手にしたその時の笑顔が忘れられないポーだった。みんな素敵で優しかった。

 毎日、歩きに歩いた。1日2万歩は軽い。 人と素敵な出会いをするには、歩くしかなかった。 いつも出会いは歩きのなかでやってきた。それも突然やってくる。 そのチャンスをモノにできるかどうかだけ。 昼食は果物。市場でおばさんから買った。特に果物は安くてうまい。
 ポルトには、世界遺産に登録されている歴史地区がある。 その中のひとつ、クレリゴス教会。夜はライトアップされ76メートルの塔が夜空に浮かぶ。 その塔に登った。18世紀に建てられたバロック様式だ。
 ひとりやっと通れるくらい狭くて急な石の磨り減った階段を登った。 狭い空間に響くのは自分の吐く苦しい息づかいだけ。 「ポー!大丈夫。もうすぐよー!」上のほうからけいちゃんの声がこだまして聞こえる。 小さな身体がタンクのように力強かった。
 20分もかかっただろうか。目の前に広がるポルトの町があった。 大パノラマに足がすくんだ。煉瓦色の屋根が重なった先に青いドウロ川が見える。 風は強いが、寒くはなかった。 けいちゃんのシャッター音も風に消されて聞こえない。 ポーは今日はこの景色だけで十分だと思った。満足だった。 教会からドウロ川に向かった。

 川沿いのレストラン通りカイス・ダ・リベイラを歩いた。 小さなレストランが列車の窓みたいに連なっている。 『夕日を見ながら食事したら楽しいだろうな。』とポーは歩いた。歩いただけだった。 余裕あるお金はなかった。今晩何を食べるかも決まっていない。 『観光じゃない。仕事で来たんだ。』と自分に言い聞かせた。 けいちゃんはドン・ルイス1世橋を背景に釣り人を撮っていた。
 橋を渡って対岸からポルトの町を見る。 雛壇のように家並みが上へ上へと重なっていた。坂が多いわけだ。 夕食はスーパーで買ってホテルの部屋で食べた。

 翌朝もドウロ川に面したカイス・ダリベイラを歩いた。 朝もやの川の上にセンスを広げたようなドン・ルイス1世橋が美しい曲線を描いていた。 かもめが白い空に溶け込んで飛ぶ。釣り人がシルエットで銅像のように動かない。 頭に大きな荷物をのせて歩いてくる老婦人の影が白い壁に映る。 けいちゃんが放つ音が朝もやに軽やかに消えていった。 眠さをこらえて早起きしたけいちゃんの勝利だった。
 ホテルに戻り、モーニングを腹一杯に収めた。 食べ放題、飲み放題のモーニングは何を食べても美味しかった。 けいちゃんは果物で、お腹を満たすほど食べた。 給仕係のおじさんがニコニコして見守っていた。

 食後、ベランダに出た。高台にあるこのホテルからの景観はいい。 眼下にあるサン・ベント駅から列車が出発していくのが見えた。 駅の構内の壁を飾っているのは『アズレージョ』タイル画だ。 20世紀初め修道院の跡地に建てられた駅舎。そのままを残して置いた。 歴史は1度壊したら決して戻らない。 通勤客が行き交うなかでポーとけいちゃんはホールの壁を仰いだ。

 ホテルの前からバスに乗ってドン・ルイス1世橋を渡り対岸にあるノッサ・セニョール・ド・ピラール修道院に行く。 眼下に広がるドウロ川とそこから雄大に町並みが天空に駆け登っていく歴史的空間が見たかった。 バスから降りて坂道を登った。修道院の中庭を抜けた。 この高台から見たいと言ったのは、けいちゃんだった。 歩いていくと眼下に期待の夢が広がった。 

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