  エヴォラのジラルド広場のふたり
  
リスボンのセッテ・リオスバスターミナルからバスで1時間30分、
または、オリエンテ駅から列車で、約1時間40分で到着する。
列車はとても本数が少ないので、バスのほうが便利である。
エヴォラ (Evora) はポルトガル南東部アレンテージョ地方にある町である。
人口は、55.619人。面積は、1307.0平方キロメートルであり、スペイン国境に近い。
ローマ帝国時代からアレンテージョ地方の中心地として栄え、
ルネサンスの時代には、大学もおかれた学芸の都でも知られている。
1584年9月には、伊東マンショらの天正遣欧少年使節が立ち寄った街でもある。
ローマ、イスラム、キリスト教、それぞれの時代を物語る建造物が
ひとつの城壁の中に混然と同居する旧市街は、
世界遺産にも登録されており、まるで町全体が美術館のようである。
街角ごとに豪華な邸宅か、見事な教会が見られる。
その多くはエヴォラが栄華を極めたルネサンス期に建てられたものである。
1580年にポルトガルがスペインに併合されるとエヴォラの繁栄に
終止符が打たれ、町はゆるやかに衰退しはじめた。
しかし、奇跡的な修復工事により町はその栄華を取り戻した。
ジラルド広場は、夏のフェスタのイベントで、本の市場が開かれていた。
白いテントの本屋がずらりと並んでいた。
おおぜいの人たちが本を見たり、カフェでくつろいでいた。
土曜日の午前中は、大学生たちが描いた絵も売られている。
そのジラルド広場の本の市場にふたりがいた。
「大学生が描いた絵なんですって。」
「へ~~~ うまいもんだな。」
「あれは、エヴォラのカテドラルね。」
「現代風の絵もあるよ。」
「どれか、部屋に飾りたいわね。」
「いや、やめておいたほうがいいかもよ。」
「え~~~ なんでよ。」
「君の前じゃ、どんな絵もかすんでしまうからさ。」
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