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ポルトガル写真集(巨大なキリスト像のクリストレイ)
Portugal Photo Gallery --- Cristo Rei

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クリストレイ1
クリストレイ

クリストレイ2
巨大なキリスト像正面

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巨大なキリスト像後ろ

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両腕を広げて立つ

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高さ110mの像

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4月25日橋

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リスボンの町

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テージョ川

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カシーリャスの町

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アルマーダの町

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続く住宅街

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教会

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マリア像

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教会のキリスト像

クリストレイ15
十字架

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天からの祈り

クリストレイ17
十字架の説明

クリストレイ18
社会見学

クリストレイ19
元気な仲間

クリストレイ20
観光バス

☆クリストレイの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
リスボンのテージョ川の対岸に位置するクリストレイ。
リスボンと対岸を結ぶ4月25日橋を渡った川沿いにある。
高さ110mの巨大なキリスト像が両腕を広げて建っている。
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるキリスト像を模して1959年に完成した。
台座の塔の中にはエレベーターが通っていてキリストの足元まで上ることができる。

「ポー君の旅日記」 ☆ 巨大キリスト像のクリストレイ ☆ 〔 文・杉澤理史 〕

≪2008紀行文・15≫
    === 第五章●リスボン起点の旅 テージョ川の対岸=== クリストレイ

          《治安について》

 リスボンは、ヨーロッパの最西端の首都であり、年平均温度は17度弱。温度には関係ないが、 ヨーロッパのほかの首都と比べ比較的治安のいい首都のようだ。 と言うのも、ポルトガルしか行かないので、ヨーロッパ他国は実体験がないからだ。 そのヨーロッパ他国での、知人画家から聞かされた体験談がある。 絵を描いていた時、さっきまで絵を覗いていた子供たちがいなくなったと気がついた時はすでに遅し。 絵具がすべてなくなっていた、なんてことはない。 2001年から今回まで6回撮影取材にポルトガルに来ているが、怖い目には一度も会っていない。 貧乏たらしいふたり旅のせいもあるかもしれないが。

 その画家の話。 友人の画家が、隣国の首都でホテルの前で3人組に襲われ肩に下げたバックを刃物で肩掛け紐を切られ奪われたと聞かされた。 ああ恐ろしや。金持ちのようなかっこいい服装をしていたに違いない。 何せわれわれはケチケチ旅を信条に、昼食は持参の胡麻せんべいをバリバリ醤油味の香りを撒(ま)き散らし、 人との素敵な出会いを求めて《心に響く暖かい写真》を撮りたいその一念で、一日二万歩の旅を続けてきた。 そして、撮影させていただいた人には、必ず相棒の千代紙で作った手織りの折鶴をもらっていただいている。 折鶴が相手の掌(てのひら)に舞っていくたびに、笑顔が弾ける。その笑顔が堪(たま)らない。こころがとろけるほどだ。

 今日は6月13日の金曜日。祭日の聖アントニオ祭だった。  13日の金曜日も、ケセラセラ。午後の目的地は、〈クリスト・レイ〉だ。 食堂で炭火焼きのイワシを食べた後、いつもなら歩く距離であったが1日何度でも乗れる周遊券を買ってしまった相棒は、 路面電車15番に乗ってフェリー乗り場があるカイス・ド・ソドレ駅に向かう。 左手にテージョ川に面した〈コメルシオ広場〉を眺める。 広場の中央にドン・ジョゼ1世の騎馬像がテージョ川を背景に浮かんで見える。 右手は官庁街。海軍省や郵政省の古い建物が覆いかぶさるように間近に迫る。 この広場に接するテージョ川の船着き場からポルトガルの大航海時代が始まったのだ。

 「けいの豆日記ノート」
 写真展の会場で、「ポルトガルの治安はどうですか?」とよく聞かれる。 旅をするものにとって、その国の治安のよし悪しは重要な問題である。 もちろん、「ポルトガルの治安はいいですよ。」と答える。 そのあとに付け加える。 「都会のリスボンには、スリとかはいますが。どこにでも悪い人はいますので。」 治安はいいと聞いてあんまり安心してしまうのも困るでしょう。 日本のようにボーとしていても生活していける国はめったにないと思う。

          《テージョ川を渡る》

 路面電車を降りて、カイス・ド・ソドレ駅から工事中の道をテージョ川に向かって、 10分ほどに対岸の〈カシーリャス〉に行くフェリー乗り場がある。 2.04ユーロ(265円)の船賃だった。  午後3時。太陽はまだ天空で輝いて、地上に夏の暑さを降り注いでいる。 名古屋で今時分経験する昼12時頃の陽射しであった。  フェリーに乗る人は意外に多い。大きな包みを肩に担ぐおばさんたちが目を引く。 リスボンで用立てした帰りのようだ。ポルトガルの女性は働き者だとポーは思う。 昔からの慣習のようなものがあるとしか思えない。市場でも食堂でも路地でも、忙しく働く姿は、女性であった。 旅人が歩いて見やすい場所だからかも知れない。 とくに、高齢者のおじさんたちをよく目にするのは、カフェ。 サッカーの再放送のテレビ鑑賞やトランプ、おしゃべり姿が目に飛び込んでくる。いいのだ、それが男なのだ。 もう、十二分に働き通してきた余力しかない。ちょっとの一休みなのだ。そうに違いないと、ポーは思うのである。

 海みたいに広いテージョ川。対岸まで2キロメートルはあるだろうか。空の色を映して見えるのか、紺碧だった。 流れは意外に早く、12キロ先は大西洋である。 つまり、リスボンは大西洋にそそぐテージョ川河口の上流右岸にある、ヨーロッパ大陸最西端の首都なのだ。  日本大百科全書(小学館)によると、テージョ川の源は隣国スペイン中東部にあるクエンカ山脈に端を発して、 タホ川がポルトガルでテージョ川と名を変え、リスボンから大西洋に流れる全長1007キロメートルという、 ヨーロッパのイベリア半島最大の川なのだった。

 その川を渡った。 海上から見る首都リスボンは密集した建物が小ざっぱりとした丘のように見えた。 岸壁を離れ遠ざかる祖国を、14〜15世紀の大航海時代に果てしなき大海原に旅立つ勇者たちは、 いつ無事帰港できるかもしれない心中で、どんな感情を押し殺し見つめていたのだろうか。

 「けいの豆日記ノート」
 1日乗り放題のチケットには、フェリーが入っていなかった。 プリペイドカードは、カリス社が運行するバス、市電、ケーブルカー、サンタ・ジェスタのエレベーターが乗り放題である。 カシーリャスはリスボンの会社に通う人たちの住宅地になっている。 10分おきくらいにフェリーがでる。 乗り放題の中にいれてほしいなあ。経営会社がちがうから無理なのでしょう。

          《1ユーロのイチゴの気持ち》

 対岸のカシーリャス船着き場は渡ってきた人、これから渡ろうとする人々で賑わっていた。 地元の人々には日常生活に欠かせない船着場のようで、利用客がいつも多かった。  桟橋を渡ったところで、果物大好き人間の相棒が捕まった。 手押し一輪車の上に淵のついた平台を置き、そこに山積みした桃とイチゴを腕っ節たくましいおばさんが 「もぎたてだよ〜!」(多分・・・)と大きな声を出して売っていた。 1キログラム1ユーロの手書きの紙が川風で揺れている。 1キログラムと書いてあるが、秤が見当たらない。 相棒のシャッターがいくつか鳴って、先客の観察だ。 イチゴは秤に掛けられるのではなく、家庭花壇に使うシャベルの3倍ほどの量がすくえる赤いちりとりで1パイ分。 イチゴの粒にすると60粒は充分にあった。

 その状況を観察した相棒は、1ユーロ(130円)で買った。 新聞紙の上に、ドドドとイチゴの山盛りだった。粒はふぞろいであったが、新聞紙に包まれたイチゴは重かった。 それまでは黒いビニール袋に入れていたが、相棒が勝った時は新聞紙であった。 笑顔のおばさんの気持ちが伝わる。こんなに売れるとは思わなかったわ、フフフ、と。

 相棒は肩掛けバックの中からビニール袋を取り出し3袋に分けた。 どこかで見たような薄いビニール袋だった。 日本のスーパーマーケットでレジが済んだあとエコバックに収める台に置いてある、 あの大小の円筒からはぎ取るように引き出すビニール袋であった。 なんて用意がいいのでしょう。ポーは相棒の顔を見た。 二コリともせず、当然の準備だよ、の顔であった。 カメラマンは先を読む能力に長(た)けているらしい。 それがなければ、いいタイミングでシャターは切れない。

 バスターミナルは広場だった。その中で、クリスト・レイ行きのバス停を探しだす。 相棒は時間を確かめた。15時55分発。あと30分もあった。 いくつものバス停があるその中央に切符売り場はあった。 往復で2・4ユーロ(312円)を2枚買ってきた。 お金の管理は相棒だから、相棒が当然担当である。 ほとんど、ポルトガル語が喋れないのに、だ。

 あのビニール袋を3袋持たされていたポーから、相棒は2袋を持ってトイレに入って行く。 じっと静止していない。先々行動する順番が脳のどこかで組み立てられているように、動いて行く。 見ていて飽きないポーだった。じっとしているのは、乗り物に乗った時だ。すぐ、眠る。 トイレに用があったのは、イチゴを洗うためであった。 「傷んだイチゴが多くてさ〜ぁ」と吐く。 「でも、洗いながら食べたけれど、美味しいよ」と、嬉しそうに微笑んだ。

 クリスト・レイ行きのバス停のベンチに座り、ビニール袋から大粒のイチゴを一粒一粒取り出して食べた。 採りたてのイチゴは瑞瑞(みずみず)しく、旨かった。 残りの一袋は、隣に座っていたアフリカ系の5歳くらいの少年に相棒があげた。 少年は母親に視線を送る。すかさず相棒が言う。 もらっていただけます?日本から来ました。 船着き場で買ったのですが、量が多すぎてと。 彫のある美しい瞳の母親は二コリ微笑み、オブリガーダ!とビニールに入ったイチゴを受け取ってくれた。 相棒の笑顔が弾けた。会話は声ではない、心の響きだと、ポーは思う。

 「けいの豆日記ノート」
 山積みのイチゴ。 なんと、シャベルですくっていた。 カンカン照りの太陽の下のイチゴは早く食べないとダメになりそうであった。 イチゴの山の下のほうは、つぶされているだろう。 つぶれたイチゴも混じっての値段なのだろう。 持って帰るとぐちゃぐちゃになりそうなので、早く食べるしかない。 ビニール袋は旅の必需品である。 旅だけでなく、日常的に必需品である。 かさばらなく軽いし、便利である。

          《クリスト・レイ》

 観光客を乗せたバスは工事中の町並みをぬって走る。 4年前も、2年前も、今年も工事中だった。線路が延びていた。 路面電車が走るのだろうか。なんとものんびりした工事風景をバスの中から見ていた。 狭い街並みが急に開けた。乗車25分後だった。 高い大きな門の向こうに高い塔が見え、その上にさらに両手を広げたキリスト像が青空の中に浮いて見えた。 ここが〈クリスト・レイ〉であった。

 28メートルのキリスト像は台座の塔を含め110メートル。 テージョ川の岸辺の高台に建ったキリスト像は対岸のリスボンの町を見下ろしていた。 台座の塔の下から見上げると、まさに天を衝いているようだ。 1950年から9年の月日をかけ1959年5月7日に除幕したという。 相棒は写真を撮るために4ユーロ(520円)の台座の塔の中にあるエレベーターに乗って、キリスト像の足元にある展望台に上って行った。

 ポーは台座の塔にある教会やモノクロ写真の工事中の様子を見た。 教会は小さいが天井長けがあり、正面祭壇にはキリスト像はなくファサード状に大きな絵が描かれていた。 象徴的絵画で、色鮮やかな宗教画である。キリスト像は左の壁に張り付いている。黒人の神父がミサを始めた。 参加者は10人ほどであった。 ここに来る観光客は、塔に登り、大パノラマの景観を楽しみに来ているのだ。 その大俯瞰に今頃相棒は堪能しているに違いない。

 ポーは敷地のテージョ川岸で対岸のリスボンを見ていた。 塔のすぐ左手下から対岸に〈4月25日橋〉が走っていた。 1966年に完成した全長2278メートルのつり橋である。 上段が車、下段が鉄道専用。上段はラシュ並み、混んでいた。 この広い河口の左は大西洋である。 青いテージョ川にはヨットが浮かび、商船が行き帰し、海軍の船が2艘停泊している。 何せ広いテージョ川、ほんの一握りの景観である。リスボンの町も広く青い空の下では、遠望であった。

 「けいの豆日記ノート」
 ガイド本には、エレベーターでキリストの足元まで登ることができると書いてあった。 実際は、キリストの足元の手前3階くらいまでだった。 後は、階段を登るしかなかった。 話がちがうとブツブツいいながら、展望台に登った。 けっこう長い階段を登った。 展望台は風が強く、帽子が飛ばされそうで押さえながらの撮影だった。

          《スーパーマーケットは空だった》

 帰路、宿の近くのスーパーマーケットに寄る。野菜や果物、魚、菓子やパンなど、どの棚も空っぽ。 祭日の、それも聖アントニオ祭の夕方。ほんとに何もないスーパーマーケットを初めて見た。 水(0.19)、赤ワイン(1.99)計2.18ユーロ(284円)。今夜の夕飯は残り物と赤ワインであった。

                              *「地球の歩き方」参照*

終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2010年10月掲載

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