カラーマラソンのふたり
リスボンからセッテ・リオス・バスターミナルからバスで2時間30分程、
サンタ・アポローニア駅から列車で2時間でコインブラに到着する。
または、ポルトのカンパニャン駅から1時間で到着する。
政治のリスボン、商業のポルトに次ぐポルトガル第3の都市コインブラは、
文化の中心である。
丘の上の大学を中心に広がる人口10万人ほどの小さな町だが、
ポルトガルの歴史の中で果たした役割は大きい。
多くの政治家や文化人たちを世に送ったコインブラ大学は1290年に
ディニス王によって創設された。
5月のこの時期はケイマ・ダス・フィタスといわれ、コンサートやパレードなど
さまざまな催しが行われ、町はお祭り気分に包まれる。
その年の卒業生たちが、学部ごとのシンボルカラーを身に着け、
それぞれの色で飾られた車で町中を行進する。
リボンを卒業のときに焼いたのが祭りの始まりで、ケイマ・ダス・フィタス
Queima das Fitas とは、「リボン焼き」という意味である。
大学の卒業式の前あたりの日曜日にカラーマラソンが開催されていた。
コインブラの町中をマラソンするのだが、途中、ランナーに風船が投げられる。
風船の中には、色の粉や液体が入っている。
当然、マラソンランナーは色々な色になるのである。
服だけでなく、頭から足まで全部である。
色に染まるのを楽しむマラソンである。
そのカラーマラソンも終わり、帰宅時間になっていた。
旧市街地の入口にあるポルタジェン広場にふたりがいた。
「今日は、楽しかったわね。」
「そうだね。また、参加しようね。」
「来年は、ひとり増えているかもよ。」
「え!! それはうれしいな。」
「そうなると、走れないかもね。」
「大丈夫さ、僕がおんぶして走るさ。」
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