泥棒市場のジャカランダの木の下のふたり
ポルトガルの首都リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から
約12km上流の右岸に位置するヨーロッパ大陸最西端の首都である。
「7つの丘の街」と呼ばれる起伏が激しい土地である。
サンタ・エングラシア教会 (Igreja de Santa Engrácia)は、
ポルトガルの首都リスボンにある17世紀創立の教会である。
20世紀に入ってから国立のパンテオン(名士合祀殿)となり、
ポルトガルの著名な人物が葬られている。
教会はアルファマ地区にあり、近くにサン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院がある。
サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会は、ふたつのルネッサンス様式の鐘楼を持っている。
1147年にアフォンソ・エンリケスがイスラム教徒からのリスボン奪回を記念して建てた。
現在の建物は1582年から1627年にかけて建てられたものである。
教会正面に向かって右が修道院の入口である。
サンタ・エングラシア教会とサン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会の間の
サンタ・クララ広場で毎週火曜と土曜に市場が開かれる。
通称「泥棒市 Feira da Ladra」のラドラとは女泥棒のことである。
泥棒市といっても盗品の市ではない。
新品、中古品からガラクタまで何でも出揃っている。
掘り出し物が見つかるかもしれない。
その泥棒市のジャカランダの木の下にふたりがいた。
ジャカランダの木は、紫の花が満開であった。
「泥棒市に来れてよかったわね。」
「そうだね。おもしろいものいっぱいあったし。」
「あのサングラス買えばよかったかなあ。」
「戻って買いに行くかい。」
「また、今度でいいわ。あなたはほしいものなかったの?」
「ぼくは、泥棒したからいいさ。」
「えっ・・・何を泥棒したの?」
「もちろん、君のハートさ・・・」
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