ポルトのドウロ川沿いのふたり
ドウロ川河口に位置するポルトガル第2の都市ポルトは、
リスボンから北へ約300km、列車やバスで3時間半ほどの距離である。
ドウロ川北側の丘陵地に築かれた、起伏の多い街である。
人口約23万人、この国の商業の中心として栄えてきた。
14世紀から15世紀にかけての大航海時代、ポルトで生産された船団は、
ポルトガルの海軍の発展に大いなる貢献をした。
1415年に、ジョアン1世の子供であるエンリケ航海王子は、
ポルトを出発し、モロッコの地中海に面する港町セウタを攻撃した。
エンリケ航海王子によるセウタ攻略がそれ以後のポルトガルの海外への
雄飛への出発点であった。
18世紀から19世紀にかけて、ポルト港から特産ワインがイングランドに盛んに輸出され、
英語でポートワイン(ポルト・ワイン)と呼ばれて有名になった。
聖グレゴリウス聖堂、大聖堂、ポルサ宮、聖フランシスコ聖堂などを含む旧市街地は、
1996年、「ポルト歴史地区」としてユネスコの世界遺産に登録された。
ドン・ルイス1世橋をわたるとヴィラ・ノヴァ・デ・ガイラである。
ワイナリーが並んでおり、ドウロ川には、ラベーロが並んでいる。
ラベーロとは、かつてワインを運んだワイン船である。
ドウロ川遊覧の観光船の発着場近くにいたふたりである。
川辺には芝生が敷いてあり、人々の憩いの場となっている。
その芝生に座るふたりがいた。
「ここに座って対岸を見ていると飽きないわね。」
「そうだね。世界遺産の景色だからさ。」
「街並み全体が世界遺産というのもすごいわよね。」
「歴史地区だから、街全体なんだろうしな。」
「歴史的な建物もたくさんあるし、見所いっぱいね。」
「そうだな。」
「どこから見ようかしらね。すてきなところがいいわね。」
「じゃあ、最初は君の顔からだな。」
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