ジェロニモス修道院のふたり
リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から約12km上流の
右岸に位置する、ヨーロッパ大陸最西端の首都である。
「7つの丘の街」と呼ばれる起伏が激しい土地である。
リスボン中心部からテージョ川沿いに6kmほど西にあるのがベレン地区である。
15世紀初め、ヨーロッパ列強が争っていた時代に、
ポルトガルが悠然と道の海へと乗り出した。
輝かしい大航海時代の幕開けである。
エンリケ航海王子は海洋国ポルトガルの創始者となった。
ベレン地区には、大航海時代を代表する歴史的建築物が残されている。
ジェロニモス修道院は、首都であるリスボンのベレン地区にある修道院である。
ポルトガルを代表する世界遺産として、1983年に登録されている。
マヌエル様式の最高傑作ともいわれ、大航海時代の富をつぎ込んで建築された。
聖ヒエロニムスにあやかったヒエロニムス会の修道院で、現在につながる本格的な建設はディオゴ・ボイタクが指揮をした1502年以降のことである。
ボイタクに建設を命じたのはポルトガル王マヌエル1世で、その目的にはエンリケ航海王子の業績を称揚する意図などが込められていた。
修道院のサンタ・マリア教会は、身廊とふたつの側廊から成る三廊式である。
天に向かってそびえる柱は、ヤシの木を模したといわれ、海をモチーフにした模様が刻まれている。
サンタ・マリア教会の西門から入ってすぐの所に、ヴァスコ・ダ・ガマとルイス・デ・カモンイスの棺が安置されている。
そのジェロニモス修道院のサンタ・マリア教会の2階にふたりがいた。
2階からは教会の全体の様子がよく見える。
「今年も終わりね。」
「1年がだんだん早く感じるよ。」
「キリスト様にお祈りしないとね。」
「そうだな。」
「幸せになりますように・・・」
「ボクは、君といっしょに過ごせてずっと幸せさ。」
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